押す ESC で閉じる

Peptide Lab App ログイン 記事 ニュース ガイド 製品
その他 Peptide Tracker 計算機 ベスト計算機 ペプチド統計 お問い合わせ ニュースレター
Français English Deutsch Español Português العربية Italiano Polski 한국어 日本語 中文 RU
Cagri
Sema

CagriSema(カグリセマ)

カグリリンチド(アミリンアナログ)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の固定比配合注射剤

カグリリンチド 約4,409 g/mol / セマグルチド 4,113.58 g/mol 分子量
C₁₉₄H₃₁₂N₅₄O₅₉S₂(カグリリンチド)+ C₁₈₇H₂₉₁N₄₅O₅₉(セマグルチド) 分子式
第3相試験完了・規制当局審査中(未承認) 開発段階
単一ペプチドではなく2成分の配合。カグリリンチドはヒトアミリンをアシル化して長時間作用型にしたアナログ(アミリン受容体およびカルシトニン受容体作動薬)、セマグルチドは31アミノ酸からなるGLP-1アナログです。
CagriSema(カグリセマ) Photo: Polina Tankilevitch

CagriSemaとは何であり、なぜ2つのペプチドを配合するのですか?

CagriSema(カグリセマ)は、ノボノルディスク社が肥満症および2型糖尿病を対象に開発している週1回皮下投与の注射剤です。最大の特徴は、作用機序の異なる2つのペプチドを1本の製剤にまとめた固定比配合薬であることです。片方はカグリリンチド(アミリンアナログ)、もう片方はセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)です。

ここで誤解されやすい点を整理しておきます。CagriSemaは新しく設計された単一分子ではありません。チルゼパチドやレタトルチドのような多受容体作動性の「1分子多標的」ペプチドとは発想が異なり、既存の2分子をそのまま組み合わせて同時に届けるという設計です。したがって分子量や分子式も1つに定まらず、成分ごとに記述する必要があります。カグリリンチドはヒトアミリンをアシル化して半減期を延長したアナログで分子量は約4,409 g/mol、セマグルチドは31アミノ酸からなるGLP-1アナログで分子量4,113.58 g/mol、分子式はC₁₈₇H₂₉₁N₄₅O₅₉です。

各成分の単剤としての薬理と臨床データについては、カグリリンチドのガイドとセマグルチドのガイドで個別に扱っています。本記事が扱うのはあくまで配合そのもの、つまり「2つを一緒にすると何が変わるのか」という問いです。濃度や比率といった実務的なトピックはカグリリンチド専用ページにまとめています。

臨床開発は2つの大きなプログラムに分かれています。肥満症を主対象とするREDEFINEプログラムと、2型糖尿病の血糖管理を主対象とするREIMAGINEプログラムです。前者はREDEFINE 1からREDEFINE 5まで、後者はREIMAGINE 1から5までが報告されており、合計で1万人を超える参加者のデータが蓄積されています。本記事ではこのうち結果が公表され査読誌に掲載されたものを中心に取り上げます。

なお、本記事は教育および情報提供を目的としたものであり、医学的助言ではありません。CagriSemaは2026年10月時点でいずれの国においても承認されていない開発段階の医薬品です。治療の判断は必ず医療専門職にご相談ください。

アミリンとGLP-1を組み合わせる科学的根拠は何ですか?

アミリン(膵アミロイドポリペプチド)は、膵β細胞がインスリンとほぼ同時に分泌するホルモンです。胃内容排出の遅延、食後グルカゴン分泌の抑制、そして中枢での満腹シグナルの伝達という3つの役割が知られています。GLP-1とは別の受容体系を使うため、両者を併用すれば作用が重なりにくいという仮説が配合の出発点になりました。

アミリンの中枢作用は、脳幹の最後野と背側迷走神経複合体に強く依存します。受容体はカルシトニン受容体とRAMP(受容体活性調節タンパク)の複合体として機能し、AMY1受容体とAMY3受容体が主要な標的です。2025年にeBioMedicineに掲載された前臨床研究では、RAMP1とRAMP3を欠損させたマウスでカグリリンチドの体重減少作用が失われることが示され、この経路依存性が実験的に裏づけられました。同じ研究で、サケカルシトニンでは同様の体重減少が得られなかったことも報告されています。

一方GLP-1受容体作動薬は、視床下部と脳幹の食欲調節回路に作用して摂食量を減らし、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促し、胃内容排出を遅らせます。つまりアミリン系とGLP-1系は、最終的な表現型(摂食量の減少)が似ている一方で、入口となる受容体と神経回路が異なります。薬理学的には、これは相加的な効果を期待できる組み合わせです。次世代インクレチン薬の設計思想を俯瞰したい方は次世代インクレチン薬のガイドも参考になります。

配合を支持するもう1つの論拠は、GLP-1単独療法の限界にあります。GLP-1受容体作動薬では、体重減少に伴って代償的にエネルギー消費が低下し、一定期間後に減量がプラトーに達します。アミリン系はレプチン感受性の維持に関与する可能性が動物実験で示唆されており、異なる経路から摂食調節に介入することでプラトーを押し下げられるのではないかと考えられてきました。ただしこの点についてヒトでの機序的な証明はまだ得られておらず、仮説の段階にとどまります。

REDEFINE 1は、この仮説を検証する設計になっていました。配合、セマグルチド単独、カグリリンチド単独、プラセボという4群を同一試験内に置いたため、配合が各単剤を上回るかどうかを直接評価できたのです。結果として配合は両単剤を明確に上回りましたが、後述するように「単純な足し算を超える相乗効果」が示されたわけではありません。

REDEFINE 1はどのような結果を示しましたか?

REDEFINE 1は、2型糖尿病のない肥満または過体重の成人3,417人を対象とした68週間の第3a相試験です。対象はBMIが30 kg/m²以上、またはBMIが27 kg/m²以上で肥満関連合併症を1つ以上持つ成人でした。参加者は生活習慣介入に加えて、CagriSema(カグリリンチド2.4 mgとセマグルチド2.4 mgの配合)、セマグルチド単独、カグリリンチド単独、プラセボのいずれかに割り付けられました。割付人数は配合群2,108人、セマグルチド群302人、カグリリンチド群302人、プラセボ群705人です。

結果の読み方には注意が必要です。この試験では2つの推定量(エスティマンド)が報告されています。治験薬を予定どおり継続した場合を推定する治験薬推定量では、68週時点の体重減少は配合群22.7%、カグリリンチド単独11.8%、セマグルチド単独16.1%、プラセボ2.3%でした。一方、中止者も含めて割り付けられた全参加者を解析する治療方針推定量では、配合群20.4%、プラセボ群3.0%で、その差は17.3ポイントでした。同じ推定量でのセマグルチド単独は14.9%、カグリリンチド単独は11.5%です。報道で引用される数値がどちらの推定量に基づくのかを確認することが、データを正しく理解する出発点になります。

反応率も報告されています。治験薬推定量での解析では、体重の25%以上を減らした人の割合は配合群で40.4%に達し、カグリリンチド単独6.0%、セマグルチド単独16.2%、プラセボ0.9%を大きく上回りました。減量薬としては高い反応率です。

体重以外の指標も改善しました。REDEFINE 1の事後解析(Hypertension誌、2025年)では、68週時点の収縮期血圧の低下が配合群で10.9 mmHg、プラセボ群で2.8 mmHg、拡張期血圧はそれぞれ5.4 mmHgと1.7 mmHgでした。同解析では、降圧薬を使用していた参加者のうち減量または中止に至った割合が配合群39.6%、プラセボ群18.8%と報告されています。

解釈上の限界も明確です。単剤比較群はそれぞれ302人と小規模であり、配合群との統計的検出力に差があります。また配合の効果は各単剤の効果をおおむね足し合わせた水準であり、薬理学的な相乗効果(単純な加算を上回る効果)を示したとは言えません。長期的な体重維持や心血管アウトカムについては、現在進行中の試験の結果を待つ必要があります。

なぜ「期待外れ」と受け止められたのですか?

2024年12月20日、ノボノルディスク社がREDEFINE 1のトップライン結果を公表した日、同社の株価は一時29%下落しました。22.7%という体重減少は減量薬として非常に大きな数値であり、臨床的には明確な成功です。それにもかかわらず市場が否定的に反応したのは、同社がそれ以前の投資家向け説明で25%前後という水準に言及していたためでした。つまり問題は薬剤の効果そのものではなく、設定された期待値との差にありました。

この差が生じた背景として複数の要因が議論されています。1つは試験設計上の柔軟性です。REDEFINE 1のプロトコルでは、参加者が忍容性に応じて増量を進めず低い段階にとどまることが許容されており、全員が最高段階まで到達したわけではありませんでした。もう1つは推定量の選択です。治療方針推定量で見れば20.4%となり、投資家の期待との差はさらに大きく見えます。

より実質的な論点は、2026年2月23日に公表されたREDEFINE 4の結果でした。これは肥満症の成人809人を対象に、CagriSemaとチルゼパチド15 mgを84週間にわたり直接比較した非盲検試験です。ベースラインの平均体重は114.2 kgでした。結果は効率推定量でCagriSema 23.0%、チルゼパチド25.5%、治療方針推定量では20.2%と23.6%となり、主要評価項目である非劣性は達成されませんでした。単なる期待値の問題ではなく、現行の競合薬に対する相対的な位置づけに関わる結果です。

一方で2026年9月21日に公表されたREIMAGINE 5では逆の方向の結果が出ています。メトホルミンまたはSGLT2阻害薬(あるいは両方)で血糖管理が不十分な2型糖尿病の成人1,023人を対象とした非盲検試験で、60週時点の体重減少はCagriSema 12.4%、チルゼパチド9.1%となり優越性の基準を満たしました。HbA1cの低下はCagriSema 1.71%、チルゼパチド1.67%で非劣性が確認されています。ただしこの試験の比較対象はチルゼパチド5 mgであり、CagriSemaも1 mg/1 mgの組み合わせでした。最高用量同士の比較ではないため、REDEFINE 4の結果を打ち消すものではありません。

読者にとっての示唆は単純です。株価の反応と臨床的価値は別の尺度で測られます。そしてある薬剤が「期待を下回った」という報道と「効果がない」という評価は、まったく異なる主張です。

2型糖尿病がある人ではどうでしたか?

REDEFINE 2は、肥満または過体重に加えて2型糖尿病を併せ持つ成人を対象とした68週間の第3a相試験です。12か国から1,206人が3対1の比率でCagriSemaまたはプラセボに割り付けられ、いずれの群も生活習慣介入を併用しました。結果は2025年にNew England Journal of Medicine誌に掲載されています。

68週時点の体重変化の推定平均は、CagriSema群で13.7%の減少、プラセボ群で3.4%の減少でした。血糖指標も改善し、HbA1cの低下はCagriSema群で約2ポイント、プラセボ群では0.1ポイントにとどまりました。体重と血糖の両方に同時に働きかけられることは、2型糖尿病を伴う肥満症の管理において実務的な意味を持ちます。

注目すべきは、糖尿病のないREDEFINE 1の20.4%と比べて減量幅が小さいことです。これはCagriSema固有の現象ではありません。セマグルチドやチルゼパチドの臨床試験でも、2型糖尿病を併せ持つ集団では一貫して減量幅が小さくなる傾向が観察されています。背景としては、インスリンやスルホニル尿素薬の併用、β細胞機能やインスリン抵抗性の違い、より長期にわたる代謝変化などが議論されていますが、決定的な説明は得られていません。異なる試験や異なる集団の数値を横並びで比較する際には、この点を踏まえる必要があります。

有害事象については、消化器症状がCagriSema群の72.5%、プラセボ群の34.4%で報告されました。多くは一過性で軽度から中等度でした。発生率の高さ自体は、増量期を伴うGLP-1系薬剤の試験で一般的に見られるパターンと整合しています。

血糖管理をより前面に出したプログラムがREIMAGINEです。食事と運動のみで血糖管理が不十分な2型糖尿病成人を対象としたREIMAGINE 1はLancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載され、REIMAGINE 2および3もあわせて報告されました。肥満症と2型糖尿病という2つの適応に向けた開発が並行して進んでいることになります。

日本と東アジアのデータは何を示していますか?

日本語で情報を探す読者にとって最も関連が深いのがREDEFINE 5です。この試験は日本の21施設と台湾の1施設で実施された多施設共同の第3a相試験で、CagriSemaとセマグルチド単独を直接比較しました。対象はBMIが27 kg/m²以上で肥満関連合併症を2つ以上持つ成人、またはBMIが35 kg/m²以上で合併症を1つ以上持つ成人で、2型糖尿病の有無は問いませんでした。

331人が無作為化され、CagriSema群164人、セマグルチド群167人に割り付けられました。68週時点の体重変化の推定平均はCagriSema群で18.4%の減少、セマグルチド群で11.9%の減少であり、推定治療差は6.5ポイントでした。有害事象を報告した参加者はCagriSema群164人中143人(87%)、セマグルチド群167人中141人(84%)でした。結果はLancet Diabetes & Endocrinology誌に掲載されています。

この試験が重要なのは、東アジア集団を対象に配合と既承認薬を頭対頭で比較した点にあります。日本をはじめとする東アジアでは、欧米よりも低いBMIの段階から内臓脂肪蓄積と代謝異常が顕在化しやすいことが知られており、肥満症の診断基準や治療目標も欧米とは異なります。欧米で得られた減量データをそのまま当てはめられるかという問いは、以前から臨床的な関心事でした。REDEFINE 5はその問いに対する直接的なデータを提供します。

ただし限界も明確です。参加者数は331人であり、REDEFINE 1の3,417人と比べれば小規模です。追跡期間は68週で、より長期の体重維持や合併症への影響は評価されていません。また比較対象はセマグルチド単独であり、チルゼパチドなど他の選択肢との東アジア集団での直接比較データは現時点でありません。単一の試験から一般化できる範囲は限られています。

日本における規制上の位置づけについては、2026年10月時点でCagriSemaは国内未承認です。東アジア集団でのデータが得られていることは申請の前提条件を整える意味を持ちますが、申請や審査の進捗について公表された確定情報を本記事では確認できていません。

報告されている有害事象にはどのようなものがありますか?

臨床試験で最も頻繁に報告されたのは消化器症状です。悪心、嘔吐、便秘、下痢が中心で、REDEFINE 2ではCagriSema群の72.5%、プラセボ群の34.4%に何らかの消化器系有害事象が認められました。多くは一過性で軽度から中等度であり、増量期に集中する傾向が報告されています。GLP-1受容体作動薬で広く知られたパターンと一致し、詳細はGLP-1受容体作動薬の副作用に関する記事で扱っています。

配合に特有の所見として、注射部位反応の頻度がカグリリンチドを含む群で高いことが報告されています。REDEFINE 1では、配合群とカグリリンチド単独群で注射部位反応の発生率がセマグルチド単独群より高く、また消化器症状による治験薬の恒久的中止もセマグルチド単独より配合でより多く見られました。2剤を同時に投与することが忍容性の面で負荷になりうることを示す所見です。

GLP-1系薬剤のクラスとして知られる注意点も、配合では引き続き考慮が必要です。急速な減量に伴う胆石や胆嚢関連イベント、まれな膵炎、重度の消化器症状による脱水、妊娠中の使用に関する制限などが挙げられます。またセマグルチドを含む製剤には、げっ歯類での甲状腺C細胞腫瘍に基づく警告が付されており、甲状腺髄様癌や多発性内分泌腺腫症2型の既往がある人への使用は避けられます。さらに、大幅な減量では脂肪だけでなく除脂肪体重も減少しうるため、十分なタンパク質摂取とレジスタンス運動の併用が臨床的な論点になっています。

アミリンアナログを長期にわたりGLP-1受容体作動薬と併用した場合の安全性については、まだ観察期間が限られています。REDEFINEとREIMAGINEの追跡期間は多くが60週から84週であり、数年単位のデータや心血管アウトカム試験の結果は今後の報告を待つ段階です。

本節は報告されたデータの要約であり、使用を推奨するものでも、個別の症例に適用できる判断材料でもありません。減量治療の必要性と選択は、既往歴、併用薬、検査所見を踏まえて医療専門職が評価すべき事項です。

承認申請はどこまで進んでいますか?

ノボノルディスク社は、REDEFINE 1とREDEFINE 2の結果を主要な根拠として、2025年12月に米国FDAへ長期体重管理を適応とする承認申請を行いました。同社の見通しとして、FDAの判断は2026年第4四半期に見込まれるとされています。本記事の公開時点である2026年10月時点では、CagriSemaはいずれの国でも承認されていません。

したがって現在の状況は「審査中」です。承認が得られた場合でも、承認日、実際の発売日、薬局での流通開始、保険適用の開始はそれぞれ別のタイミングになるのが通例です。欧州および日本での申請や審査の進捗については、本記事では確定した公表情報を確認できていないため、推測での記述は控えます。

この点は実務上の注意につながります。未承認薬であるにもかかわらず、「カグリセマ」や「CagriSema」の名称を冠した製品が研究用試薬として販売されている例があります。こうした製品は医薬品としての製造管理、品質試験、無菌性保証、含量規格の対象外であり、医療用製剤と同等とみなすことはできません。本記事は購入先を紹介しませんし、いかなる入手経路も推奨しません。

各国の法規制も一様ではありません。未承認のペプチドの輸入、所持、使用に関する扱いは国や地域によって大きく異なり、医薬品としての使用が明確に禁じられている場合もあります。居住地の規制を確認する責任は利用者側にあります。

医学的な免責事項として改めて記載します。本記事は教育および情報提供のみを目的としています。診断、治療、処方の代替にはなりません。肥満症や2型糖尿病の治療については、必ず医師または薬剤師にご相談ください。

チルゼパチドやレタトルチドと比べてどうですか?

減量薬の開発競争は、受容体を組み合わせる方法論の競争でもあります。CagriSemaは2分子を配合するアプローチ、チルゼパチドやレタトルチドは1分子で複数の受容体に作用させるアプローチです。下表は公表された主要データの整理です。試験の設計、対象集団、推定量が異なるため、横並びの数値比較には限界があることを前提にご覧ください。

薬剤作用機序主要試験報告された体重減少状況
CagriSemaアミリン受容体作動薬+GLP-1受容体作動薬(配合)REDEFINE 1(3,417人、68週)22.7%(治験薬推定量)/20.4%(治療方針推定量)審査中
チルゼパチドGIP/GLP-1受容体デュアル作動薬(単一分子)SURMOUNT-1(72週)最高用量で約20%肥満症・2型糖尿病で承認済み
レタトルチドGIP/GLP-1/グルカゴン受容体トリプル作動薬(単一分子)TRIUMPH-1(2,339人、80週)12 mg群で28.3%(プラセボ2.2%)第3相完了・未承認

直接比較のデータとしては2つの試験が重要です。REDEFINE 4では、CagriSemaとチルゼパチド15 mgを84週間比較し、23.0%対25.5%(効率推定量)となって非劣性が示されませんでした。一方REIMAGINE 5では、2型糖尿病の集団でCagriSema 1 mg/1 mgがチルゼパチド5 mgを上回り(60週で12.4%対9.1%)、優越性の基準を満たしました。比較対象の設定が結論を大きく左右することが、この2試験の対比からよく分かります。チルゼパチド自体の詳細はチルゼパチドのガイドをご覧ください。

レタトルチドについては、2026年5月に第3相TRIUMPH-1の結果が公表されました。肥満または過体重で2型糖尿病のない成人2,339人を対象とし、80週時点の平均体重減少は12 mg群で28.3%(プラセボ群2.2%)、8 mg群で22.8%、4 mg群で16.1%と報告されています。事前に規定された延長解析では、BMI 35 kg/m²以上の集団において104週時点で30.3%という数値も示されました。現時点で報告されている減量幅としては最大級です。

複数の薬剤を間接的に比較したネットワークメタアナリシスも公表されており、チルゼパチド高用量とCagriSemaが最大の減量をもたらす一方、消化器系有害事象は治療強度に応じて増加し、重篤な有害事象の頻度はプラセボと同程度であったと報告されています。ただし間接比較には異質性の問題が常に残ります。

総合すると、CagriSemaの位置づけは「最も強力な減量薬」ではなく、「作用機序の異なる選択肢をもう1つ加えるもの」と表現するのが実情に近いでしょう。消化器系の忍容性、注射部位反応、血圧や血糖への付随的な効果、そして最終的な価格と保険適用が、実臨床での使い分けを決めることになります。

知識をテストする

クイッククイズ · 6問

🧪

Peptide Lab:無料の計算機&トラッカー

再構成を計算し、ペプチドと注射を記録。無料、クレジットカード不要。

Peptide Lab を見る →

よくある質問

CagriSemaはすでに承認されていますか?
いいえ。2026年10月時点でCagriSemaはいずれの国でも承認されていません。ノボノルディスク社は2025年12月に米国FDAへ長期体重管理を適応とする申請を行い、同社の見通しではFDAの判断は2026年第4四半期に見込まれるとされています。承認が得られた場合でも、発売、流通、保険適用の開始はそれぞれ別のタイミングになります。
CagriSemaはセマグルチド単独より本当に優れているのですか?
公表された試験データでは、体重減少の幅において上回っています。REDEFINE 1では治験薬推定量で22.7%対16.1%、日本と台湾で実施されたREDEFINE 5では18.4%対11.9%(推定治療差6.5ポイント)でした。ただし消化器症状による中止と注射部位反応はセマグルチド単独より多く報告されており、効果と忍容性の両面で評価する必要があります。
チルゼパチドより効果が高いのですか?
一概には言えません。肥満症の成人を対象にチルゼパチド15 mgと直接比較したREDEFINE 4では、84週時点で23.0%対25.5%となり、主要評価項目の非劣性は達成されませんでした。一方、2型糖尿病の集団でチルゼパチド5 mgと比較したREIMAGINE 5では優越性が示されています。比較対象の設定が結論を左右するため、「どちらが強いか」ではなく「どの集団でどの条件と比べたか」を確認することが重要です。
日本人を対象としたデータはありますか?
あります。REDEFINE 5は日本の21施設と台湾の1施設で実施された第3a相試験で、331人が参加しました。68週時点の体重減少はCagriSema群18.4%、セマグルチド群11.9%でした。東アジア集団での直接比較データとして貴重ですが、参加者数が331人と限られ、追跡期間も68週であるため、長期的な結論を導くには追加のデータが必要です。
最も多い副作用は何ですか?
消化器症状です。悪心、嘔吐、便秘、下痢が中心で、REDEFINE 2ではCagriSema群の72.5%、プラセボ群の34.4%に報告されました。多くは一過性で軽度から中等度であり、増量期に集中する傾向があります。配合特有の所見としては注射部位反応の頻度がカグリリンチドを含む群で高く報告されています。
筋肉量は減りますか?
大幅な減量では脂肪に加えて除脂肪体重も減少しうることが、GLP-1系薬剤の研究全般で指摘されています。CagriSemaの試験でも体組成は関心の対象となっており、十分なタンパク質摂取とレジスタンス運動の併用が臨床的な論点として議論されています。個別の対応については医療専門職の評価が必要です。
治療を中止すると体重は戻りますか?
CagriSemaに特化した中止後の追跡データは、本記事の時点では査読誌での報告を確認できていません。GLP-1受容体作動薬のクラス全体では、中止後に体重が部分的または大幅に戻る傾向が複数の試験で観察されています。肥満症が慢性疾患として位置づけられる根拠の1つであり、長期的な管理計画の必要性を示しています。
「研究用」として販売されているカグリセマは医薬品と同じものですか?
同じものとはみなせません。研究用試薬として流通する製品は、医薬品の製造管理基準、含量規格、無菌性保証、安定性試験の対象外です。純度や含量が表示と一致する保証はなく、未承認ペプチドの輸入や使用に関する法規制も国や地域によって大きく異なります。本記事は購入先を紹介せず、いかなる入手経路も推奨しません。

参考文献

  1. REDEFINE 1 試験グループ (2025). Coadministered Cagrilintide and Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity (REDEFINE 1). New England Journal of Medicine.
  2. REDEFINE 2 試験グループ (2025). Cagrilintide-Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity and Type 2 Diabetes. New England Journal of Medicine.
  3. REDEFINE 5 試験グループ (2026). Efficacy and safety of co-administered cagrilintide and semaglutide versus semaglutide alone in adults with overweight or obesity with or without type 2 diabetes in Japan and Taiwan (REDEFINE 5): a multicentre, randomised, active-controlled, phase 3a trial. Lancet Diabetes & Endocrinology.
  4. Oliveira Carvas A, et al. (2025). Cagrilintide lowers bodyweight through brain amylin receptors 1 and 3. eBioMedicine.
  5. REDEFINE 1 事後解析グループ (2025). CagriSema Reduces Blood Pressure in Adults With Overweight or Obesity: REDEFINE 1. Hypertension.
  6. REIMAGINE 1 試験グループ (2026). Efficacy and safety of once-weekly cagrilintide-semaglutide (CagriSema) in adults with type 2 diabetes inadequately controlled on diet and exercise (REIMAGINE 1): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3a study. Lancet Diabetes & Endocrinology.
  7. Jastreboff AM, et al. (SURMOUNT-1 Investigators) (2022). Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity. New England Journal of Medicine.
  8. ネットワークメタアナリシス著者グループ (2026). Comparative Effectiveness of CagriSema, Semaglutide, Cagrilintide and Tirzepatide in the Management of Overweight and Obesity: A Network Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials. PubMed 収載論文 (PMID 42207966).
  9. Novo Nordisk A/S (2024). CagriSema demonstrates superior weight loss in adults with obesity or overweight in the REDEFINE 1 trial (トップライン発表). 企業プレスリリース.
  10. Novo Nordisk A/S (2026). CagriSema demonstrated 23% weight loss in an open-label head-to-head REDEFINE 4 trial in people with obesity, the primary endpoint was not achieved. 企業プレスリリース.
  11. Novo Nordisk A/S (2026). Novo's CagriSema delivers superior weight loss versus tirzepatide in REIMAGINE 5 trial. 企業プレスリリース.
  12. American Journal of Managed Care 編集部 (2026). Retatrutide Achieves Up to 30.3% Average Weight Loss in Phase 3 TRIUMPH-1 Trial. AJMC(第3相試験発表の報道).

このコンテンツは情報提供および教育目的でのみ提供されています。医学的アドバイスを構成するものではありません。決定を下す前に医療専門家にご相談ください。 医療免責事項の全文を読む

GHK-Cu
GHK-Cu
強力なアンチエイジング →